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二人の背中

   

 

 

 

 

 

いつからだろう…
先輩に向けての憧れから、
人としての尊敬の念を抱くようになったのは。

僕が貴方を初めて意識したのは、
舞台前方に聳え立つ、揺るぎない大きな背中にだった。
背丈こそ僕とほとんど変わることのない、

どちらかというと小柄な体つきだというのに、
その背から放たれる存在感はほんとに凄まじいものだった。

多くの視線をものともせず、
その見た目からは想像できぬ屈強な身体でもって
ありとあらゆる表現を描いてゆく。
そして、いつだって輝きを失わない凛と立ち尽くすその背を見守るうちに、
どんどんとその魅力に囚われていく自分がいた。

それほどに、貴方のその背は誰よりも頼もしく、

そして見惚れるほどに美しかった。


そんな貴方も、仕事以外の素顔は、ほんとに同一人物か?と疑うほどの、
どこにでもいそうなただの男に戻る。
あの近寄りがたく手に届かないような存在感は息を潜め、
どちらかというと、よく喋り、人懐っこく笑う姿のあまりのギャップに

内心ドギマギしつつも、
そのどれもがまた魅力的で、知れば知るほどに貴方の虜になっていく。

でも、そうやって意識し始めて絶えず目で追ううちに、
貴方のもう一つの姿に、ある時気づいてしまった。

同じグループを組むもう一人の相方と、肩を並べている時だ。

それは、あの舞台でみる貴方とは別人のように、
半身を預けたような安心感漂わせるその姿に、

僕は言いようのない感情が生れた。

一人でも、あれほどに人をまとめる力のある貴方が
一人でも、決して乱れることのない精神を持つ貴方が

その同じ位置にある肩に寄り添うように立っている。
その同じ位置にある顔に崩れるように微笑んでいる。

安心しきった顔。
たよりきった心。


そして気がつく。
貴方は、ソロの時はずっとずっと一人きりで

闘いづつけていたのではないのかと。
例え周りがどれほどサポートしたとしても、

それを信じて任せてくれていたとしても、
それでもやはり最後の最後まで責任と期待をすべて一心に背負っていたから。
だからこその、完璧なるトップの姿がそこにあったんだと。

だけど、今共に同じステージにたち、
目の前にある二人の背中を感じると、また違った輝きを貴方は放つ。

二人で一つの美しいハーモニー。
二人で一つの息の合ったダンス。
そして何より二人だからこその、自然と溢れ出る抜群の掛け合いトーク。

絶対にマネのできることのない、二人だけの独特の世界…

そんな。
二人で作りあげた空間を全身で楽しんでいる二人をみて、
貴方がそこまで寄り添って、

そして全てを預けることのできる彼の存在ってすごいと・・・
その時痛感した。

そこに目に見えぬ小さな嫉妬が生まれたかもしれない。
だが、それと同時に “あぁ、この二人だからこそなんだ”と思ったのも本音。
そこまでひた向きに接する貴方のその姿をみて、

彼にも興味を抱いてしまったのも事実。

もっと貴方の相方である彼とも話してみたい。
もっと彼の口から貴方達の話を聞いてみたい。

そんな思いも叶って、交流も深まり、
貴方を知ったことにより彼ともたくさん接する機会が増えた。
そして二人の優しさにもたくさん触れた。

感謝してもしきれない素敵な時間が共有できた。



今、僕は人生の岐路に立ちいろいろ考える事がたくさんある。
時には、心が弱ることもある。

でも、
二人の背中をみていると、頑張れる自分がいる。
二人の背中を目指して歩んでいきたいと心からそう思う。

そうして…

大好きな二人の背中を、
今日も僕は、追い続ける。

 

 

 

 

fin

          

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