「ぼくもー」
HEY!HEY!HEY!に出演する際に渡されたフリップの質問に、
俺はさっきから頭を悩ませる。
そういえば、司会のダウンタウンは今年30周年を迎えたと聞いた。
ジャニーズ内でもTOKIOは18周年。
タッキー&翼は10周年。
関ジャニ∞は8周年。
みんな、ファンへ感謝を込めて全国ツアーに盛り上がっているのに。
ーどうして15周年を迎えた俺たちは何もないの?ー
ずっと、頭の隅にあった疑問が今頃、顔を出す。
ソロツアーは始まったばかりで。
アルバムだってもうすぐ出す。
短期間で踊り込んだアルバム曲を披露すべく、
用意された生放送番組に出演しながらも。
それでも、
思わずにはおれなかった。
―なんで俺は一人なんだろう?ー
雨の中、カメラを前にしたら
意外にそれは素直な言葉となった。
そして、笑って話を流すつもりが気がつけば、
言葉にするほど愚痴めいて、
結局最後はいつものネタで笑いに持っていかれてしまったけれど。
でも、後悔はしていない。
その後、生放送も無事終りを迎え、
いつも以上の緊張からどっと開放されて、俺は用意されていた控え室へと戻る。
すると。
ドアを開けた途端
これ以上のタイミングはないくらいに、
耳慣れたF1のエンジン音が鳴り響く。
小走りにテーブルへと置いていたそれへと駆け寄ると
そこには、途切れた着信音と共に届いた一通のメール。
それは、今日という日、
何故だか無性に隣にいて欲しいと思った、
相方からだった。
「また浜田さんにこっぴどく弄られていましたね(笑
ある意味、僕もドキドキしながら見させてもらいましたが、
大丈夫‼
最後まで綺麗に決まっていましたよ‼
・・・髪型(´∀`*)
雨の中、お疲れ様でした。」
「ふふふっ」
あいつらしい、茶化した内容に笑いがこみ上げる。
「ズレへんっちゅうねん(笑)」
そんな分かりきってるツッコミを思わすかえしてしまうほど。
何より、トーク前半の部分にはあえて触れずに、
髪の毛ネタでメールしてくるところがほんとに剛らしいと思いつつ、
でも。
「お前はどう思った?」
なんて、本人を前にしては絶対聞けない質問を画面越しに呟いてみる。
そして、ふと気付く。
まだメールは終わっていないことに。
俺は、ゆっくりと指で画面を滑らせる。
妙なドキドキ感を感じながら、
ゆっくりゆっくりスクロールしたその先に・・・
「ありがとう。
嬉しかった。
ぼくも・・・」
やばい。
胸がキュンとなった。
とたんに剛の声が聞きたくなた。
剛に会いたいと思ってしまった。
「・・・もしもしっ」
「んふふふっ何?」
「なに?ちゃうわっ(笑)なんや、あのメールはっ!」
「なにがやねん(笑)」
ぼくも・・・
ふたりが いい。