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「HAPPY DEY☆」

  










ここはとある都内にあるビルの廊下。

男が1人、年若い女性を先導して歩いてくると、ある部屋の前で立ち止まり、
一言二言その女性へと声をかけるとすかさずドアをノックする。
そして、するりと体を滑り込ませ、中にいる者へと何事かを手短に伝えると、
男はあらためて女性を部屋の中へと案内した。

そこに待っていたのは―



「はじめまして。」
“はじめましてっ突然お邪魔してしまってすみません。”
「いやいや、それはいいけれども…」
『へぇ~藤牧さんにこんな大きい娘さんいたん知らんかったわ。』
「ほんまやな」
“父が大変お世話になってます”
「世話になってんのは僕らの方やけども」
『それにしても全然、父親に似てへんやん(笑)』
「んふふっ」
『言っちゃ~悪いけど、お父さんに似んでよかったねw』
「あかんあかん(笑)そんな事ゆったらっw」
“私もつくづくお母さんに似てよかったと思ってます(笑)”
『うわっ!!藤牧さん可哀想にっ(爆)』
「お前、どっちの味方やねんっ(爆)」

初っ端から会った早々、話も弾んで楽しそうな事この上ない三人ではあるだが、
実は、彼女の目の前にいる人物たちとはKinKi Kidsの光一と剛だったのだ。


彼らのよく知る藤牧から
「近頃、娘がキミたちのファンになったと言いだしてね~」と
聞かされていたfutariだったが、
今朝方突然、その娘が「2人に逢いたいっ!!」と言いだしたもんから、
「少しでも時間があるようならほんの少しでいいから相手をしてあげてほしいんだ。
 何しろ、今日はあの娘の誕生日だから…」と言ってきたのだ。

娘にはめっぽう甘いのはどこの世界の父親も同じだろう。

そして、偶然にも今日はたまたま二人一緒の仕事があって
ほんとに久々に顔を合わせた彼ら達だったから、断るわけにもいかず…
こんな形での、急な三人の顔合わせとなったのだった。


『ところで、え~と…』

光一がふと言葉を詰まらせると、すぐに気がついた彼女はすかさず。

“サオリですっ”
「あぁそうやった!サオリが~サオリが~てよう言うてはるわ、あの人w」
『そうそう、サオリさんは今日が誕生日だそうで。』
“はいっ!!今日で18歳になりました。”
『それはそれは―』
「『おめでとうございます』」
“ありがとうございます!”
「・・・で?有難い事に、僕らのファンやって言ってくれてるそうで」
“はいっ!! 私、正真正銘のKinKiファンです!!”
『あ、そう(笑) 嬉しいけれどなんで今頃俺らのファンになったん?(笑)
 もっと若くてカッコイイグループはたくさんあるのに』
「んふふ、ほんまやな」
『それも、ココ最近、KinKi活動もしてへんのになぁ?』
「自慢やないけどな。ま、それはいいとして今日は?」

すっかり話がそれつつあったのを、剛がさり気に戻して相手へと求めると。

“あ、はい。実は我がままを承知で、お二人にどうしてもお願いしたい事があるんです。
 聞いてもらえます…か?”

それまで意外と落ち着いた物腰でfutariと接していたサオリだったが、
本題に入った途端、少しだけ顔を赤らめてもじもじしながら問いかけてきた。
futariは、そんな彼女の変わりっぷりに思わず目と目を合わせ、

「まぁ、僕たちでできる範囲の事なら」と、

futari一緒に頷いた途端、サオリの口から出た言葉とは。


“ぜひ握手をしてくださいっ!!”


突然そう叫んで深く頭を下げた彼女に。
どんなお願いされるんやろ…と正直ちょっと心配していただけに
あまりにもありきたりすぎるファンらしいお願いに、futariは思わず拍子抜けした。

「あ、握手?」
“ぜひお願いしますっ!!”
「いや、それは全然構わんけど…」
『ぜひ、言うてんねんからお前からしたったらええやん』
「あぁ、じゃあ・・・」

光一に言われて、剛はすかさず右手を彼女の方へと差し出したところで…
それに気がついた彼女は「えっ?」っとまさかの驚きの顔!?

そのしぐさに、futariもまた意味がわからんとばかりに顔を見合わせ
剛に至っては「え?もしかして俺やなくて光一のファン?」と、一瞬過りもしたが、
不意に「KinKiファン」と強く主張していた彼女にピンときて・・・


『な、なんやなんや!?』


突然慌てふためいた光一の声を余所に
剛は「こういう事でしょ?」と何故か勝ち誇ったように彼女へとほほ笑みかける。
それを目の当たりにしたサオリもまた、満足気にその瞳を輝かせたのだ(笑)

そんな中。

『だからっなんで俺とお前が握手しとんねんっ!!』騒ぐは光一だけ(爆)


見事に彼女の求めるものを理解した剛と、
文句はいいつつも、その手を無理やり離そうとはしない光一を交互に見やり、
サオリは満面の笑みで「ほんとに仲いいんですねぇ~」と頬を染めたw

そこでやっと、遅ればせながらにこの状況を察した光一。

『そういう事か…』
「やっと理解できましたか、光一さん。というわけで出血大サービスっ!!」

『わぁっ!!』
“きゃっw”

剛の仕掛けた行動に、光一とサオリはそれぞれ違った色の声をあげる。
それは、以前も一度コンサートのノリからファンにお披露目をした、
ハグをしながら相方のお尻をこすりまくるというあのワザだ(爆)

「誕生日なんやからこれくらいのサービスもしてあげんとっ」
『なぁにをしとんねんっお前はっ!!サービスする相手がちゃうやろ(笑)』
「んふふふっ十分喜んでるよ?サオリちゃんw」

剛の言う通り、キャーキャーと言いながら、目の前のfutariをガン見なサオリ(爆)
そして、なんやかんやで妙にテンションの高い剛に絆されて、
光一も気がつけばどんどんと巻き込まれじゃれあいと化す。

すると。

「やられっぱなしも男がすたるっ」と、突然豪語したかと思うと
光一も反撃を開始するから、余計にすごい体制になる2人w

こうなるともう、彼らの眼中に彼女の入る余地はない。

その事に、不意に彼女は気付いたのか。

“素敵な誕生日プレゼントありがとうございましたw
 これからも、そんな仲よしさんで居て下さいね!”

というだけ言って、いともあっさりと部屋を後にしたのだった。

そんな、あまりにも引き際のいい彼女の後姿に2人はあっけに取られる。
そして、じゃれ合ったままの微妙な体制から、剛が不意にバランスを崩した事で、
「わぁ」と声をあげて2人して床へと倒れ込んでしまった。

「いたたっ」
『ごめんごめんっ』


下敷きになった剛の上から慌てて飛びのこうとした光一だったが、
何故か剛に腕を取られてまた逆戻り。

『なんやねんっ(笑)』
「いや、ほんま君とこんな風にじゃれあうのが久々すぎてw」
『全部お前から仕掛けてきといて何ゆうとんねん(笑)』
「んふふっ。それにしてもさ、さすが藤牧さんの娘やな。」
『顔は似んでも性格がそっくりや(笑)』
「んはははっ」
『あれは絶対父親の話を真に受けとんな…』
「ふふふw」
『何を吹きこんどんねん、愛娘に(笑)』
「まぁ、あながち嘘でもないからええんちゃう?」
『帰ったら、父親に何言うかわからんで?(笑)』
「これ以上誤解されることないから大丈夫っ」
『にゃはは、なんやそれっ』
「それにしても・・・」
『ん?』
「さすがに重い…」
『お前がこの手を離さんからやないかっ!!』
「あ、そっか。」
『わかったらはよどけろ(笑)』
「はいはいっよっとっ」

と、勢いをつけて体制をひねると、
いとも簡単にお互いの位置を逆転してみせた剛(爆)

『だからぁ~なにをしとんね~んっ(笑)』
「んっふふふふっ」
『こうなったら・・・』
「あはははっごめんっまいった(笑)」
『ひゃひゃひゃひゃっ』
「んははははっ」


Futariのファンだといった彼女は遠の昔にいなくなったというのに、
久々に感じる互いの温度に…
いつまでもいつまでもそのじゃれあいは終わる気配はなく、
彼らの笑い声は、幸せそうに響きあった。

そんなfutariのHAPPY DAY☆



    終わりw





           

fin

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 

 

 

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