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「special reel 」 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 



食事会が始まってから、30分ほどしてからだろうか。
突然、部屋の入口付近がにぎやかになり、
本日の主役の片割れがやっとこの席へと現れた。

堂本剛くんだ。



この夏からKinKiの全国ツアーのバンドメンバーとして参加した僕だけど、
それからというもの、とくに彼、剛くんとは何かと気が合い

よく話相手をしてもらっている。

今日は用があったからか、Live後の打ち上げ的な食事会に少し遅れてきたが、
そんな彼を、僕はひそかに今か今かと待ちつづけていたのだ。
それはもちろん、一緒に呑みながら語りたいのもあるが、実はもう一つ。
ここ最近の「彼らの鑑賞会」が僕のもう一つの楽しみだったりする。


剛くんが、入口付近にいる関係者たち一人一人に、丁寧に声をかけている間、
僕は、もう片方の本日の主役にちらりと視線をおくる。
彼…堂本光一くんは、いつもの指定席である部屋の奥の一番隅っこにへばりつき、
横に座る後輩に何かを熱心に語っているようだった。


まだ剛君がきたことには気づいていないみたいだ。

普段の僕なら、喋りたい相手は自分から積極的に声をかけたりするのだが、
このツアーに参加して、二人の行動を今まで以上に目の当たりにしていると、
いろいろわかってきたことがある。


僕は、二人とは個々ではいろいろ話もしてるし付き合いもあるが、
二人セットでここまで長い時間を一緒に仕事をするのは
今回が初めてだったから、
最初は、周りの空気を読まずにこういう席では二人にどんどんと絡んだりしていたが、
二人と付き合いの長い人間は、ちゃんと二人の間の空気を読んでいるようなのだ。

これが自分も共に行動し二人一緒で接する機会が多くなるほど、

どんどんと見えてくるものがあって、
最近になってようやく、周りの彼らへの接し方に「なるほど!」と納得がいった。

それがわかればわかるほど、見えてくれば見えてくるほど、
彼らの不思議な関係性に、ついつい興味を抱いてしまったという次第だ(笑)
とにかくほんとに見ていて飽きない二人なのだ。

まぁ、そんな独り言はどうでもいいとして、とりあえず剛くんを目で追って行こう。



彼は、Live後の盛り上がる室内で

それでも自分に気づいた人間ひとりひとりに一言二言挨拶をかわしつつも、
確実に、部屋の奥へ奥へと足を進める。
その先にはもちろん、相方である光一くんが座っているのだが、
どんな時でも、そこを指定席にしている光一君に寄り添うかのように、
彼は自ら進んで彼のほど近い場所に腰を下ろす。

しかし、これといって二人で話し込むことはなく別々の相手に話してたりするのだが
でも、不思議なほどにこの位置関係は変わることなく、
毎回毎回、事あるごとにある打ち上げで二人を見るたび、

やっぱり変わることなく同じテーブルにつく二人。

そんな二人に、周りも当たり前のように受け止める。


今回ももちろん例外ではなく、

剛君はすでにほろ酔いの何人かに声をかけられつつも、愛想笑いを浮かべて

「後からそっちにいきます」と好感度バッチリな対応でかわしてみせて、
それでも、迷うことなく彼へと一直線で向かっていく姿に「一途だなぁ~」と…
どうしてだか、そんな言葉がぽろりとこぼれた。

しかし…

  ―あれ?―

目で追っていた彼が、そのまま光一君のいるテーブルに近づくのかと思いきや、
突然、ほど近いところで立ち止まり、何かを思案したような一瞬の間があった後、
ふらりと周りを見渡して、どうやら自分の座る場所を探しだしたのだ。
その姿に僕は慌てて、剛君に気づいてもらえるように両手を振ると
すぐに気がつき僕のテーブルへとやってきてくれた。

そして、「遅くなってすみませんっ呑んでますか?」と、

茶化すようないたずらっこの目をして、
隣へと腰をおろした剛くんに、さっそく気になった今の行動を聞いてみた。

「珍しいじゃない。光一くんの隣にいかなくていいのかい?」
「あ~…今、あいつめっちゃ語ってるから。ニュートンとか聞こえてきてもうたし」

そういう割には、なんだか楽しそうに話す彼に、へぇ~と相槌を打って、
「光一くんはそういう話好きだよね」
「好きなわりに、説明下手ですけどね。」
「聞いてあげるか、剛君が横にいてフォローしてやったらいいのに」
「そういうのは、この先の公演でいやが応でも聞いたらなあかんねんから
 こういう場所くらい、もっと別の話題で盛り上がりたいやないですか!」
「あはは、確かに」
「んふふ」

いつもは、ほど近い距離で一緒にいる二人を“魚”に呑むのが、

ここ最近の楽しみと化していたのだが、
今回は、珍しくも光一君と離れたことで、僕の楽しみは半減したといっていいが、
まぁそれはそれで、今日はめいっぱい剛君と語り合おうと心の中で頷いて、

二人であらためて乾杯をした。

そして、しばし剛君や周りの仲間と音楽の話やらで盛り上がっていたが、
ふと、たまたま目をやった先に、

いつもぴくりとも動かないはずの光一君の姿がないことに気がついた。
少し酔った頭で考えながら

「あれ?光一君がいない・・・」と思ったつもりだったのだが
ほんとのところは、それがしっかり口にでてたらしく
「さっき、トイレに立ったみたいですわ」と、
ぼそりとつぶやいた僕の声にしっかり反応した剛君が間髪いれずにそう返す。

その言葉に、ずっと一緒に語っていたはずなの彼が、
なんだかんだでしっかり目の端に光一君をチェックしてるのがほんとに彼らしくて。

今度はしっかり心の中で「剛君はやっぱりこうでないと♪」と

思い切り頷いてしまった。

すると、

「いたっ!…なんやねん~」

突然文句を言いだす彼に、えっ?と振り仰いでみたら。


「大げさやなぁ~んな強ぉ~小突いてへんで?」

いつの間にやってきたのか、

満面の笑みで剛君へとちょっかいをかけている光一君が立っていたのだ。


「ちゃうねんてぇ~そこたんこぶできてんねん。」」
「えぇ~うそ~!!!うひゃひゃほんまや!なんかぽこってなってるっ!」
「さっきガ~ンて打って、泣きそうに痛かったところやのに…」
「んなもん、しらんやん~ごめんごめん!で…いつきてたん?」
「ん~30分ほど遅れてかなぁ」
「あ、そうなん?」

二人の会話を横で聞いてて、思わず肩が揺れそうになる。
30になろうかという大の大人の会話とも思えない、

なんとも子供のような微笑ましい会話。
まさしくkidsな二人だと、思うしかない。
そして、光一くんの行動をしっかり把握してる剛くんと、全くマイペースな光一くん。
そんな対照的な二人だと感じつつも、実は―

「剛、まだあれ食ってへんやろ?」
「え?」
「これこれっ!」

テーブル横にあったメニュー表を指さして、何事かを訴えかける彼。

「あ~まだ食ってへんわ」
「ここの店の味付けも結構うまかったで?」
「あ、ほんまぁ~頼んでみよっかな♪」
「うん。…じゃ~席もどるわ。」
「おぉ~」
「木下さん、…呑むのはほどほどに(笑)」
「あははっ!光一君~」

呑み過ぎて、何度も恥ずかしい姿を晒してる僕に笑いながらもちゃっかり指摘しながら
そのまま光一君は、元の場所へと戻っていった。
その背を、笑みを浮かべたまま見つめる剛君に、
「何を薦められたの?」とさっきの会話の内容を聞くと。
「これね、もともとは俺が光一に勧めた一品なんですよ♪」
「あ、そうなの?」
「始めは食べてみって勧めても、食べず嫌いというかイメージが先にあったみたいで」
「あ~あるよね、食べず嫌いってね。」
「うん。でも、一口食べたら、あ、いけるわっって」
「へぇ~君たちは味覚も似てるんだねぇ」
「…そういうわけでもないんですけどね」

そういって、剛君のお得意なポーカーフェイスになると、

それ以上表情を崩すことはなかったけれど…

きっと、光一君が自分の勧めた料理を好きになってた上に、
それを剛君に、「美味い」と勧めてくれたのが彼的に嬉しかったのだろう。


僕がついつい見惚れてしまうのは、

そんな二人が見合わせた時の笑顔なのかもしれない。

僕たちにも、たくさん笑顔を見せてくれる二人なんだけど、
やっぱり互いだけに見せる笑顔は、もっと安心感があって子供っぽくて
ほんとに心の底からあふれてるそんな笑顔。


「なんだか二人ってやっぱりどこか特別だよね♪」
「えぇ~?なんの話です?」
「いやいや。。。こっちの話」

おっと…これくらいにしておかないと、僕の前で警戒心持たれても困るしね。
彼らの前では普通に普通に(笑)

とにかくね、そうやって二人の行動や会話を何気に楽しんでいる僕は、
もう、二人のファンと言っても過言じゃないね。
そうなると・・・

そんな素敵な二人を、毎日、特典映像のように見せてもらってる僕は幸せものだな♪

 

 

 

 

 

 

                                                              fin












 

広島のお食事風景をちょっと想像してみましたが、
檀三者視点の方が語りやすいかと思い、架空のバンドメンバーさんに
二人を観察していただきました(笑)
初めて(笑)光ちゃんから離れたという剛君、でも、何気にいなくなった光ちゃんを探したと
ポロリ発言してみたり、ほんとに結構よく見てるんですよね~彼は♪
んでもって光ちゃんはほんとに柱とお友達のようで(笑)
私もこの方のように、そっと二人を見続けていたいわぁ~♪
そうなったら毎日がspecial reelだわ☆

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